世界唯一、沖縄県西表島浦内川河口でのみ採集された魚類の新種を公表

鈴木寿之(西表島浦内川流域研究会、日本魚類学会自然保護委員、環境省絶滅のおそれのある野生生物選定・評価委員、兵庫県立尼崎北高校)

●ハゼ科イソハゼ属の新種
●ウラウチイソハゼ(新標準和名)
●Eviota ocellifer Shibukawa and Suzuki, 2005(新学名)
●全長25mm以下の小型のハゼで、第1背鰭前部に小さな黒色斑を持つことが特徴。
●世界で唯一、沖縄県西表島浦内川河口からしか採集されていない。
●2003年7月に採集。
●国立科学博物館の渋川浩一博士と共同で研究を進めてきた。
●先月22日に公刊された国立科学博物館研究報告A類(動物学)31巻2号で新種として公表した。
●水中写真は図鑑「日本のハゼ」(鈴木・渋川著:平凡社)にイソハゼ属の1種14としてすでに掲載されている。
●生息地が一カ所であること、生息数が僅かであることなどから、環境省で絶滅危惧種としての認定を検討中。
●このほか、浦内川から採集された9種類の魚を現在、記載中である(新種として研究中である)。
○ウラウチイソハゼの採集地から数百m離れた所に、西表島の人口の半数弱が一度に宿泊できる巨大リゾートホテルが昨年春より営業開始している。ホテルからの排水による水質汚染により、この新種や未だ名もない未記載種、多数の環境省絶滅危惧種などをはじめとする多くの種類が絶滅する可能性がある。
○同ホテルには、すでに日本生態学会、日本魚類学会、WWFなどから、浦内川流域の貴重な生態系を保全するために、適切な環境アセスメントの実施を求めた要望書が提出されているが、粗雑な水質調査と生物調査をしたのみで、浦内川流域全体を含めた総合的な環境影響調査も営業後の事後調査(モニタリング)も一切実施していない。
○この8月、西表島に渡島し、ウラウチイソハゼを含む魚類に関する事後調査(モニタリング)を実施する予定である。