月が浜リゾートホテル建設計画地におけるウミガメの保護についての意見書


西表島トウドウマリ(月が浜)地区に計画されている、リゾートホテル建設予定地周辺の海岸域においては、ウミガメの産卵も確認され、ウミガメの生息域としてきわめて重要な地域と考えられている。

1992〜2000年にかけて、沖縄県教育委員会が行ったウミガメ類生態実態調査によると、西表島の「北部から東部の海岸はそのほとんどが高さ、奥行き共に不十分で干潟、冠水浜を含み、産卵には適さないと思われる。」「内離、外離島はほとんど人が訪れる事も無く産卵に適した環境であると考えられるが、産卵上陸は確認されていない。浦内川河口北岸のトウドウマリ浜(月が浜)周辺にはリゾート施設があり利用者の入浜が見られるが亀崎(1991)では2回の産卵痕を確認している。浦内川河口付近海域にはアオウミガメの餌となる海草類が広範に繁茂し、実際、大型成塾固体を含む多くのアオウミガメが採補されていて、餌場および生息域としての重要性が考えられる。」と述べられている。(資料1)

また、ウミガメの産卵場として重要な砂浜環境として、

1)砂浜の高さがあり大潮の満潮時においても冠水しない部分が広い、

2)台風や冬期の季節風などに寄る適度な砂の移動が起こり柔らかい砂質が維持されて

いる。

3)後背地に適度な植生がありその陰が砂浜の砂中温度環境に多様性をもたらしている。

4)人の侵入が少なく特に産卵する夜間は静かである事。

等が、あげられているが、リゾートホテル建設に伴う大規模な海岸林の伐採を含む海浜環境の改変はウミガメ類の生息環境に大きな影響ををもたらす環境要因となると考えられる。

また、ホテル建設に伴う人為的要因として、

1)人工光のあたる海岸又は、その付近の海岸域を避ける傾向がみられる。

2)人工光が、孵化した幼体が海へむかう定位に影響を及ぼす。

3)昼夜間砂浜への観光客など多数の人の侵入や、騒音による阻害。

4)車両の進入やその騒音。

などが予想される。(資料2)


このように、トウドウマリ(月が浜)周辺海岸域が、西表西部地域におけるウミガメ生息適地として重要との報告がなされているにもかかわらず、巨大なホテル(4階14m長さ170m)から、夜間遅くまで点灯され窓外に大量に放射される人工光を、カーテンや薄く残された防風林(資料写真2)で遮蔽する事は出来ないといえます。。また、西表島は台風の常襲地帯です。台風時には枝折れ、倒木による被害も大きいことから、光害は避けられず、ウミガメの上陸、産卵阻害要因となることは、十分予測がつきます。

また沖縄県に提出された開発行為許可申請書に対する自然保護係の意見に対して事業者は低木、中木類の植栽による遮光や、必要最小限のナトリウム燈の設置により産卵行動への阻害を可能な限り抑止するとしていますが、ナトリウム燈は街路灯であり、ホテル本体からの人工光を、産卵期の4月から9月まで完全に遮蔽するには窓を無くす以外に方法はありません。また日中多くの人が砂浜を散歩、海水浴等で利用するでしょうから、踏み潰しによる被害も考え無くてはいけません。

環境省の「ウミガメ産卵地保全対策指針」(資料2)においても、

(1) 海岸およびその付近で護岸、離岸提、突提など海流や砂の移動に影響のある工事を行わない。

(2) 陸域工事の際、泥が海岸の砂浜に入り、粒径組成が細かくならないようにする。

(3) 草本帯、低木帯、高木帯の植生の帯状構造を保全する。

(4) 夜間ヒトの砂浜への立ち入りを制限する。

(5) 車両の砂浜への立ち入りを制限する。

(6) 海岸から直接見える形で、車道や建物を造らない。

(7) 産卵する砂浜には発光体は設置しない。また、周辺でも海から見える発光体はナトリウム燈を使用する。

が挙げられています。

このように、広範な海岸域一帯を開発し、巨大ホテル建設に伴う環境の改変は、ウミガメ類の生息環境に著しい阻害要因をつくるのみならず、トウドウマリ(月が浜)地区に生息する動植物の生態系を撹乱し、破壊することとなると考えます。

引用資料

1, ウミガメ類生態実態調査報告書? 2001/03 沖縄県教育委員会

2,八重山諸島における海洋動物繁殖地等の保全対策検討調査報告書(1992/03)

ウミガメ産卵保全地域保全対策(p87)環境庁自然保護局西表国立公園管理事務所編


トウドウマリ(月が浜)入り口に掲示されている看板 (水産庁・沖縄県・石垣市。竹富町)